宮城県美ネット/出前講座in登米、開催しました!




10月30日は登米市・宮城芸術文化館にて出前講座を開催しました。コーディネーターは、マーブル・グラフィックの制作者であり、貴重なロートレック、ミュシャなどの1900年代初頭ヨーロッパのアール・ヌーヴォ―期の石版画ポスターの蒐集家でもある三浦永年さんです。会場となった宮城芸術文化館の館長でもあります。



まず、事務局より今回の宮城県美術館を含めた県有施設3施設(県民会館、NPOプラザ)の集約移転問題についての概要説明をさせていただきました。宮城県美術館については、今後の長期利用を見据えて、単独でのリニューアル基本方針が策定されていたにも関わらず、築30年以上の県有施設の統廃合を検討する「県有施設再編等の在り方検討懇話会」において、「集約・移転候補」として選定されたことを挙げ、行政の手続きとして正しい方法なのか、先述の懇話会は専門家不在のままで検討が進められたことについて、芸術文化がしっかりと語られた上での判断だったのか等を問題点として指摘しました。





また、集約移転候補地は長町-利府断層の上であることから、仙台市が発行するハザードマップにおいては地震時の被災が指摘されています。現在の宮城県美術館は東日本大震災時にも被害がほとんどなかったことを鑑みても、集約移転によるメリットが考えにくいことをお伝えしました。このことについて、三浦永年さんから、令和元年東日本台風で大きな被害を受けた「川崎市民ミュージアム」(神奈川県川崎市)のお話がありました。ここには、三浦さんのロートレックのポスターをはじめとしたコレクションが300点ほど収蔵されていましたが、そのほとんどが浸水の被害に遭ったということで、「修復には10年ほどかかる」と言われたそうです。三浦さんは「私たちは、作品を安全に管理することをとおして、〈次の時代に芸術文化を継承していく〉ということを忘れてはならない」と語り、安全が不安視される地域への集約移転について疑問を呈しました。




会場からは、たくさんの意見をいただくことができました。

現在は東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地となっている宮城球場の近くに暮らした経験のある方からは、「当時も騒音がひどかったので、もし美術館が移転するならば、落ち着いた環境での美術鑑賞が保証されないのでは、と心配」という声が上がりました。

ある方は、「公共施設の縮小は、人口減少時代においてはやむを得ない」としながらも、「今回の宮城県のようなやり方で公共施設の話が進められていくことについては疑問がある」として、古い建造物が数多く残る登米の街並みを例に挙げながら、「街の歴史を背負った建物を未来につないでいくことはとても大事」と語ってくださいました。

宮城県議で登米地区選出の渡辺忠悦さん、10月の県議会で県有施設の集約移転問題について質問した菅間進さんも参加してくださいました。お二人は熊本や弘前、岡山において前川國男が設計した建築物を視察してきたそうで、「どこの地域も建物を大切にして、長寿命化を目指した改修を実施していて素晴らしいと感じた。周辺に溶け込んで、建物そのものが美術品であるような佇まいに感動した。宮城県でも見習う部分がたくさんあるはず」とお話しいただきました。

「県民にもっとこの問題を知ってほしい!」とご発言いただいた方からは、「今回の集約移転問題は、多くの県民に関わる重要な問題である。賛同してくれる県民はもっといるはずだから、県民を信頼して、もっと大きな問題提起をしてほしい」とエールを送ってくださいました。参加していた早坂貞彦代表も、「文化活動として、今が一番大事な時。ぜひ一緒に盛り上げていきましょう!」と応えました。




会場から溢れるほどの参加があった今回の出前講座。宮城県美術館を含む県有施設の集約移転問題について、「県民みんなで考えよう!」という雰囲気が熱く伝わってくる場となりました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました!