宮城県美術館の現地存亡の危機に、県内最大の写生グループ「蔵王写生会」の有志を中心にした美術作家が立ち上がって開催された「美術館のある川内の風景を描く250人展」(10/20~25、会場:宮城県美術館県民ギャラリー)。会期中の10月24日は、会場にて「川内を見つめる眼差し-『美術館のある川内の風景を描く250人展』をとおして-」と題したギャラリートークが行われました。
初めに、当会の共同代表である西大立目祥子より、宮城県が進めている県有施設の再編計画の問題点についての概要説明をさせていただきました。この日は、「250人展」にひっきりなしに来場者が訪れる一方、本館展示室で開催中の東山魁夷展も大盛況でした。そして、なんといっても秋晴れの心地よい日で、屋外空間を散策するには最適な日。そんな中、宮城県が進める再編案において提案されているのは、宮城県美術館を含む3施設(県民会館、NPOプラザ)の集約移転であり、仮に集約移転が実現した場合、現在の県美は建物を取り壊すか、他者に譲渡する選択を取らざるを得なくなり、現在の宮城県美で味わえる美術体験ができなくなる可能性が示唆されました。
続いて、当会の共同代表であり画家の早坂貞彦と、当会スタッフで画家の柴田治より、「250人展」出展作品に描かれた美術館や川内地区の風景の解説と、現在の宮城県美術館の魅力について語られました。
広瀬川の対岸からの視点で描かれた作品から分かるのは、硬い岩盤の上に宮城県美術館が建てられていること。「東日本大震災の時、建物や作品への被害はほとんどなかった」というエピソードが紹介され、地盤の良さを物語る作品を鑑賞しながら、現在の環境がいかに「美術館」としての評価を高めているかについて説明がありました。
出展作品には、ダニ・カラヴァン「マアヤン」や点在する佐藤忠良の彫刻について描いた作品も多く見られました。これらを紹介しながら、作家本人やご遺族から「現在の宮城県美術館が残ることを望む」という意思が手紙で届けられたことも報告され、「こうした収蔵作家たちの思いにも耳を傾けるべきである」としました。
早坂氏は「宮城県美術館は何度も描きたくなる。それは、魅力にあふれた場所であることの証明である」として、たくさんの描き手による作品が集まった今回の展示を評しました。
ギャラリートーク開催中も展示室への来場者が途切れることはありませんでした。ギャラリートークも立ち見が出るほどの人気ぶりで、関心の高さがうかがえました。
ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
Commentaires