宮城県美術館の現地存続への思いや課題を共有するための出前講座。8月29日に第2弾として、加美町の石畳が印象的な花楽小路商店街にある「寅や」を会場に開催されました。現地コーディネーターは、染織家で「染織工房 藍學舎」を主宰する笠原博司さんです。笠原さんは「寅や」と同じ通りにあるギャラリー「工藝 藍學舎」も手掛けています。
古川会場と同様、関心をもった住民の方で会場はいっぱいになりました!特別ゲストとして宮城県美術館の元館長である有川幾夫さんも駆けつけ、県美の収蔵品やこれまで屋外空間を活かして行われてきたワークショップの様子をご紹介いただきました。
また、大震災のあった2011年に開催された「フェルメールからのラブレター展」においては、代表作のひとつ「手紙を読む青衣の女」を借りるにあたって、施設の安全性を確かめるためにオランダ・アムステルダム国立美術館から担当者が訪れた際、広瀬川を渡って県美全体を見ることができる場所に案内したエピソードが語られました。その際、広瀬川の河岸段丘に位置した県美を見た担当者から「この立地であれば、災害によって作品が破損する可能性は極めて低い」というお墨付きが得られ、無事に作品を借用することができたそうです。美術館の立地と文化財の展示可否判断が密接に関わっていることを示すお話でした。
参加者の方々からは「仙台だけの問題ではない」という意見が示され、美術教員の方や保護者の方から「子どもたちの教育にとっても、現在の県美は重要な拠点である」ということが熱心に語られました。
高齢者向けの福祉施設にお勤めの方からは「美術鑑賞は入所者にとっても良い機会で、現在の場所のように中だけでなく、屋外空間も印象的な場所であることが体験として重要だと思う」というお話がありました。
加美町は放射性指定廃棄物最終処分場建設の候補地となっていたところ、住民が反対運動を展開して計画の白紙撤回を迫った経緯があります。そうした経験から、関心の輪を広げていくことの大事さも教えていただきました。
終了後には、多くの参加者の方が会員になってくださり、「どんどん情報発信してください!」と激励していただきました。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました!
◎宮城県美ネット/出前講座の予定
◎工藝 藍學舎
◎宮城県美術館「フェルメールからのラブレター展」
◎加美町/広報「かみまち」号外:指定廃棄物最終処分場関連
会場となった「寅や」
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